2017/10/03

メモ・なぜTriKaiはサービスマニュアル教徒&トルクレンチ狂なのか ~あるいは安易なDIYに対する警鐘と自戒~

体調が良くなるタイミングを狙って、絶賛悪巧み中
さて、何がどうなることやら・・・ふっふっふ

しかし、大規模なカスタムを実行に移す前に、
これだけはどうしても書いておかねばなるまい



TriKaiはサービスマニュアルの導入と、トルクレンチの使用について、
他人様へ非常にしつこく推奨し、毎度顰蹙を買います
そうなった事情は話せば長くなるので、とりあえず結論を書きます

サービスマニュアルにせよ、トルクレンチにせよ、
長年経験を積んだプロのメカニックが、
勘と手の感覚でおこなってしまう高品位な整備と同等の作業クオリティを、
簡単なレクチャーを受けた程度の素人でも実現可能にするツールだからです

サービスマニュアルは、
・適切な手順とさじ加減での作業
を、

トルクレンチは、
1.強くもなく弱くもない、適切なトルクでの締め付け
2.多数のボルトに対する、均等なトルクでの締め付け
を、

それぞれ比較的容易に可能としてくれます



これは料理に例えると、よりわかりやすいと思います

プロの整備士がいわゆる”おかん”の立場
サービスマニュアルがレシピ本
トルクレンチが「一振りでプロの味」系の、
よくできた混合調味料

おかんは長年の経験があるからこそ、
適当な調理術でも”おふくろの味”を生み出せます

経験に乏しい子供たち・・・
つまり我々がおいしい料理を作るには、
まずは正確なレシピをなぞることが欠かせません

いきなり自己流で作るよりも、
あらかじめよい塩梅で調合されたスパイスを使ったほうが、
手早く確実な味付けができます



「そんなこと言われても、高いし買いたくないよ」
「マニュアルなんて買わなくても、ネットで訊けばいいんだし・・・」
「プロのメカニックだって必ずしもトルクレンチ使ってないじゃん、テキトーでいいんだよ」

高いパーツは買えるのに、
マニュアルやレンチは買いたくない、これ如何に

ウェブで回答してくる人間たちが、きちんとマニュアル類を熟読して、
かつ正しい情報を書き込んでいると、何を根拠に判断するのか

まともなプロが実行する「適当」と、
素人DIY屋が考える「テキトー」には、
品質に凄まじい差があるということが、なぜ理解できない

・・・まぁ、皮肉を言っていてもしょうがないや・・・

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サービスマニュアルの信憑性は意外と怪しいもので、
たまに指定トルク値にさえ危険な誤植があったりするので、
公式の相談窓口、そしてウェブ上のものを含めた、
非公式なコミュニティのお世話になるケースが決して少なくありません

しかし、1から10まで全部を各所で訊ねて回るのと、
あらかじめ怪しい箇所をまとめた上で要点だけ訊ねるのとでは、
周囲の反応が明らかに変わってくるのは、
容易に想像していただけるかと思います

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トルクレンチの精度については、例えばエンジン周りのように、
指定トルク値の範囲がシビアだったり、
オーバートルクに弱かったりする箇所に使用するものに関しては、
東日製作所に代表される一流メーカーの製品を買って損はないと思います

エンジンの中でも、特にシリンダーの周辺は、
締め付けトルクの強弱やバラつきに対して敏感な部位の集合体で、
1Nm単位、下手するとそれ未満での微調整が必要な世界です

一方で、一般仕様のシャシー周りのように、
指定トルク値の範囲が十分に広くとられている箇所については、
ホームセンターで5,000円程度で売られている安物トルクレンチでも、
案外きちんとした組みつけ精度が出せます

むしろ、締め付けるボルトと取り付け先、双方のネジ山・座面を、
あらかじめきちんと清掃しておくことのほうが、
適正トルクで締め付ける上でよっぽど重要だったりします



予算による制約は、確かに悩ましい問題です
しかしだからといって、不完全な整備で妥協していいなんて道理はありません
バイクは一歩間違えれば、簡単に人を殺せる凶器になります
それを扱う手が負う責任の重さには、プロも素人も懐具合も関係ありません

さすがに金が無いならバイクを降りろとまでは申しません
しかし手持ちの道具も、足りないものを買い揃える予算も無いのなら、
無理なDIYは諦めて、素直に信頼できるバイク屋に任せましょう
増してDIYによる整備を、単なる経済的な節約の手段、
あるいは娯楽としてのみ考えるのは、絶対にやめたほうが吉です

恥ずかしながら不肖TriKaiも、
実際に辛酸を舐めてみて、初めて思い知ったことであります
自戒の意味も込めて、以上のメモをここに書き残しておきます

ああっ、そうなると、
悪巧み以前にやらなくちゃいけないことがあれもこれも・・・!